2012年8月11日土曜日

●● 【ミャンマー探訪記】 月給:8000円 vs 20万円

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┃◆2012.8.8┃ vol.104 【ミャンマー探訪記】 月給:8000円 vs 20万円
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みなさん

こんばんは。

前回から「ミャンマー編」をスタートしました。

ミャンマーという国が、

・日本の戦前のような街並みであること。
・電気・水・金融などのインフラが整っていないこと。
・超・親日国であること。
・人柄・性格が日本人と合うこと。

などをご紹介しました。

今回は、私がこの視察旅行の中で、
最も価値観を揺さぶられた「工場視察」について、
書きたいと思います。

ミャンマーの人たちはどんな仕事・働き方をして、
どれくらい稼いでいるのか?

その実態に迫りたいと思います。
どうぞお楽しみください!


【 ミャンマー(ヤンゴン) ~工場視察編~ 】




『自分が提供している労働の対価(=収入)は、
 いくらぐらいが適切なんだろうか?』

私がミャンマーの工場視察を終えて感じた疑問は、
いまでも頭の中でモヤモヤしています。

日本で新卒として会社で働き始めると、
平均的にもらえる初任給が「20万2000円」。
(2011年・厚生労働省調べ)

これが高いと考えるか、安いと考えるか・・・、

どちらと取るかは比較対象によるでしょう。

先進国と比較すれば普通だし、
発展途上国と比較すれば高い。

でも結局のところ、国ごとに物価が違うので、
日本国内でいえば自分の給料は妥当なのではないか?

いままでの私は、
それぐらいの意識で自分の給料を捉えていました。

しかし、
今回、ミャンマーで働く人たちの姿を見て・・・、

その意識がどれだけ誤っていたか、思い知らされました。

▼工場視察で見た働いている女の子。

上記写真の女の子の年齢は20歳前後。

仕事内容は、エアコンもない工場内で、
1日中、服にアイロンをあて続けること。

労働条件は、

・週6日
・1日9時間半(7:30~17:30)労働
・収入はわずか月給8000円程度
・約1時間半ほど離れた農村から毎日バスで通勤

という、過酷な内容です。

時間だけで考えても、間違いなく日本人の
1.5倍くらいは働いているでしょう。

そして、肝心の収入は・・・

【月給8000円】です。

1時間にすると、わずか【時給35円】です。

では、時給35円で働く彼女たちの生産性は、
低いのか?

決して、そんなことはありません。

私が見ている範囲では、みんな真面目に、
慣れた手つきで黙々と仕事をしていました。

いまの私に比べたら、2~3倍は、
軽く働いていると思います(汗)。

そんな女の子が、1つの工場に約1000近くいるのです。

▼1000人以上の女の子が、郊外の農村から出てきて働いています。

▼とにかくみんな真面目。一生懸命働いていました。

この光景を見た瞬間、私は思いました。

「いまの自分の給料は、明らかに高すぎる・・・」、と。

そして同時に、確信しました。

「今後、日本の給料水準は下がり続ける」、と。

なぜならば、

上記の仕事は日本であれば、
明らかに月給20万円以上は稼げる仕事です。

同じ仕事であるにも関わらず、場所を変えただけで、
【20万円→8000円=96%のコスト削減】となるのです。

この人件費低下の流れ、すなわち、
「誰にでもできる仕事は、コストが安い国で行う。」
という海外への仕事の流出は、止められません。

こんなミャンマーの僻地にまで来ているのですから、
いずれ中東に行き、アフリカにまで達するでしょう。

その間、コストは下がり続け、私たちの収入も
それに引っ張られる・・・。

その流れの一端を、
ミャンマーでは目の当たりにすることができました。

今回、その現場を見せて頂いたのは、
ミャンマーに現地法人がある2社の日系企業です。

1つずつご紹介すると・・・、

まず「FAMOSO CLOTHING」という、
日本の百貨店などで販売する紳士服(スーツ)を、
ミャンマーの縫製工場で作っている会社にお邪魔しました。

日本法人は、名古屋に本社がある下記の会社です。

◎ 大栄既製服 株式会社

こちらの工場で副社長を務めている山崎和人さんに
ミャンマーでの労働事情を聴きながら、工場内を
ご案内頂きました。

▼こちらが山崎さん。パワフルで、ユニークで、ミャンマーが大好きな方でした。

▼ミャンマーの労働の実態をヒアリング。予想以上に厳しいものでした。

▼工場の中で、設備の概要や投資金額の説明を受けます。

▼こちらが実際の働く姿。冷房もない中で9時間以上働きます。

2番目に伺ったのは、

「TI Garment」という、同じくミャンマーに縫製工場を作り、
日本のイオン・洋服の青山などで販売するYシャツを
作っている会社です。

日本法人は、こちらも名古屋にある下記の会社です。

◎ トミヤアパレル株式会社

こちらの現地法人で社長を務める、山本俊郎様に
お話しを伺ってきました!

▼「ミャンマーへの進出はおすすめしない。」とハッキリ言っていた山本社長。

▼材料はすべて輸入。すごい量です。

▼働いている人にジロジロ見られながら、工場の中を進んでいきます。

▼ここで作っている製品は最終的にはYシャツになります。

▼アイロンを掛けると汗びっしょりになるため、重労働です。

▼これらのYシャツは、日本のイオンなどで売られているそうです。

どちらの会社でも、

・インフラ(電気)が整っていない。
・人件費の高騰やストライキなどの労働問題。
・身分証明(未成年労働)の問題。

など、ミャンマー現地でビジネスをする上での
大変さを教えて頂きました。

「日本の市場は衰退一方。海外に出なければならない!」

とは言うものの、やはり国外で仕事をしている人たちは、

インフラ、
思想(宗教)、
教育、
食べ物、
通信環境、
天候、
駐在員、
言葉、

など、多くの問題に直面していることを感じました。

ただ同時に、私たちのような若い人材にチャンスが
訪れていることも、事実です。

具体的には、

1、現地で人脈・信用を作れれば、いくらでも仕事がある。

いま、製造業を中心に、新しい市場を求めている
国内企業が沢山あります。

その需要をつかむためにも、海外に人脈・信用を
作れれば、いくらでも仕事になるでしょう。

2、「仕事を単純作業に変換する能力」の価値が上がる。

「人件費が安い国に仕事が流れる。」
この流れは、今後10年以上は続くでしょう。

その中で求められるのは、
「海外の人でもできるように、普段の仕事を
  誰にでもできる単純作業に変換すること」です。

業務のシンプル化・標準化が行える人は、
今後価値を増していくでしょう。

3、自分の専門分野を極めれば、世界に繋がる。

今後、日本の文化・商品・サービスは、
アジアで唯一の先進国として、どんどんアジア、
そして世界に輸出されることでしょう。

その中で、自分のいまの仕事からしっかりと
専門分野を極めておく。ブランドを作ってしまう。

それによって、他の人よりもダントツの
知識・経験・人脈・成果を残しておけば、
おのずと世界の道が開けると感じました。


以上の能力・経験は重宝されると感じました。

日々の仕事において、高い目線と広い視野さえ
持てれば、誰でもグローバルに活躍できる人材に
なれる可能性が、日本には十分ある。

それが、今回の視察で私が感じたことです。

東南アジアではどこに行っても、
「日本」は憧れの国です。

資源のない日本が、世界の先進国に
肩を並べていられるのは、まさに「奇跡」とも
いえる偉業なのです。

この歴史・積み上げを誇りに思って、
いい影響力を世界に持っていきたい。

そんな純粋な思いを胸に秘めて、工場を後にしました。

▼今回、工場視察に一緒に行ったみなさま。本当にありがとうございました!

以上で、【 ミャンマー(ヤンゴン) ~工場視察編~ 】は終了です。

次回は、ミャンマー編の締めくくりとして、
【日本語学校・観光編】をお届けしたいと思います。

いよいよ、「【100回特別号】タイ~ミャンマー編」も
最後を迎えようとしています。

どうぞお楽しみに!


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