2012年7月19日木曜日

●● 自分で育てた動物を食べられますか?

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┃◆2012.7.19┃ vol.98 自分で育てた動物を食べられますか?
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みなさん

こんばんは。

先週、前職でお世話になった人と飲んでいる時に、
こんな話を教えてもらいました。

「人の人格・人柄・性格が、何でできるか知ってる?」

「実はね、その人が子供の頃から何を食べているのか?
  という“食生活”が大きく関わっているらしいんだ。」

「有名な話では、ソフトバンク社長の孫正義さん。」

「孫さんはすごく貧しい家に生まれたけど、夕飯だけは、
  母親がいい物を食べさせてくれたんだって。」

「その理由は、食が貧しくなると、人の心まで貧しくなる、
  というのが母親の信条だったらしい。」

「孫さんに限らず、有名な人はとことん“食”にこだわる
  傾向が強い。それだけ重要だと認識しているんだ。」

上記は決して、緻密な研究で証明された理論ではありません。

しかし、

毎日3回を基本とし、私たちの身体を構成している
『食生活』が、肉体面・精神面に大きな影響を与えて
いることは、疑いようがないでしょう。

最近は「農業」の人気が上がっていますが、
豊かさが一定の水準を超えると、やはり生活の基礎で
ある【衣食住】に人の関心は移るようです。

今回ご紹介するのは、「農業」「酪農」という観点から
「食」について描かれたマンガ作品です!

◎ 銀の匙
http://www.shogakukan.co.jp/pr/ginsaji/story.html


この作品のあらすじを簡単にご説明すると・・・、

主人公は、大自然に囲まれた農業高校に入学した
八軒 勇吾(はちけん ゆうご)。

都会育ちにも関わらず、中学時代につまづいて、
家から逃げるために「寮がある」という理由だけで
入学を決めた。

そんな彼は、授業が始まるなり子牛を追いかけて
迷子になったり、ニワトリの首を刎ねるところを見て
ショックを受けるなど・・・、七転八倒の日々を送る。

想定外の事態が多い中、仲間や家畜に支えられたり
コケにされたりしながらも、命の大切さを学んでいく…、

そんな、汗と涙と土にまみれた青春物語です。

このマンガの作者は、前作の「鋼の錬金術師」で
一躍有名になった、荒川 弘さんです。

◎ 鋼の錬金術師
http://gangan.square-enix.co.jp/hagaren/

前作のジャンルが「ダークファンタジー」だったので、
「銀の匙」ではイメージを刷新されました。

実はこのマンガ、私は1年くらい前に、
1巻を読んだことがあったのですが・・・、

正直、その時はあまり面白く感じなかったので、
読むのを辞めていました(汗)。

しかし、今回読み直してみると、いまの私(たち)に
必要な「食」や「命」に関する価値観が改めて
考えさせられる良書だと、痛感したのです。。

実際に、つい先日発売した単行本が、
すごく売れているようです。

◎ 「銀の匙」初版で100万部発行
http://goo.gl/9NpIu

私がこのマンガで気に入ったところは、
主人公が抱える悩みが、多くの人が矛盾を感じる
【葛藤】として共感できたからです。。

では、その【葛藤】とは何か?

少しだけ具体的に書くと・・・、

「経済合理性」と「自然・生き物の尊重」

「競争(弱肉強食)」と「共存・共栄」

「夢・目標に向かう人」と「夢・目標がない人」

上記のような、「どちらがいいか?」と言われても、
答えの出ない疑問に、主人公は少しずつ
向き合っていきます。

日本も同様、いままでの社会では、
【経済合理性】が何よりも大切で、それさえ
満たせれば全て正しいと思えてきました。

しかし、その価値観が崩れつつある中で、
どんな選択肢を1人1人がとれば、幸せになれるのか。

このマンガを読んでいると、そんな質問を、
作者から問いかけられているような気がします。

また、「命をどう扱うか?」というテーマを
象徴する出来事として、自分で育てた豚を食べる、
というシーンが登場します。


主人公が、自分で赤ちゃんの時から育てた豚が、
出荷される時になって、

このまま出荷してしまっていいのか?
自分で飼い続けることはできないか?
食用以外に道はないのか?

と、悩むシーンです。

数が多くなると、人は個別の事象に目を向けなく
なりますが、いつも口にする「命」には、もしかして
1匹・1羽・1頭・・・ごとにドラマがあるのかもしれない。

そんなプロセスを感じられる内容です。

“食”という昔から続く答えの出ないテーマに、
真剣に悩む主人公に、きっと多くの人が共感できる
と思います。

まだ4刊しか出ていないので、読み始めたら
すぐに追いつくことができます。

みなさん、本屋で見かけたらぜひ読んでみて下さい。



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